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2008年1月3日
外は北風が吹き荒れ、肌寒い時期が続いている。
世間は新年を迎え、たくさんの人々がお祝いモードに浸る中、1人の男の人生の終わりが告げられようとしていた。
「被告人に判決を言い渡す」
少し枯れた声で裁判官言った。一瞬、裁判所の中が物音一つしない時間が出来た。
「被告人、藤原 健一郎を……死刑とする」
その言葉を聴いた途端、健一郎は肩をガクリと落とした。更に、傍聴席の方からはすすり泣く声が聞こえてきた。
その声は多分母だろうと健一郎は思った。
いや、母しかいるはずがない。ここにいる裁判官や検察官、傍聴席にいる人。全ての人がこの判決に対して当然だと思っているのだろう。
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