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蒼蝶
ひらり
ひらり
記憶に鮮明な
蒼髪の彼が
目の前を舞う蒼蝶に
悲しいほど重なった
あの頃の自分は
ほんとに幸せだった
大好きな彼と
大切な仲間と
一緒に過ごした
けれども
別れは唐突に
私の心を嘲笑うかのように
何の前触れもなく
やってきた
彼は私達を守ってくれた
お世辞にも大きくはない
その小柄な体で
その大きく見える背中で
独り
目を瞑った
その瞼はもう開くことはなかった
蒼蝶が私の鋼鉄の指先に
ふっととまる
ホワイトレザーの上
涙が
ころりと
滑り落ちた
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