喪失

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雨の日に、ねずみがいた。 そうか、町から食べるものがだんだんと減ったからお腹がすいているはず。手元にあった米粒をやる。 ねずみは毎日来るようになった。 一週間たってねずみは目の前から消えてしまった。 「俺が望んだからきえてしまったんだよ。」 いつもそばにいた男がそういった。 「いや、これは俺が望んだ事だ・・」 「それは違う。」 「いや、本当に僕のせいなんだ。」 「・・君のせい?」 「ああ、俺が世界の全てがなくなるように望んだから。」 「ちょっとまって!君が望んだから、世界から物が無くなっていくと思っているのか?」 「ああ、実際それから物がなくなっている。」 「はははははははぁ。まいった。君はどれだけすごい人間だと思っているんだ?」 「笑うことではないだろう?」 「いや、楽しいね。俺がそうしたいから、世界から物が消えていったんだ。」 「え?まってまって、という事は俺たちは同じ時期に、同じ事を望んでいたという事?」 「君の望みは知らないが俺が望んだら望みは叶ったんだ。」 「それじゃ、俺か君のどちらか はきえていく事になるのか?」 「・・・・・」 沈黙が続いた。 その日から恐怖だった・・ お互いにいつか、どちらかのせいで消える事になるに違いない・・
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