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世界から毎日一つ物が消えていった。それでも二年たった今でも生きていた。意外に物は、世界にはびこっていた。
もちろん彼も俺も生きていた。
「人間が消える日」にどちらかが生き残っているか・・まだわからなかった。
そうだな、ねずみが消えた、あの日から、二日間の沈黙があって俺たちは会話をした。お互い人間との会話は久しぶりだったのもあって自分の事だけ話していた。
そして、気付いた。
僕たちは同じ女と付き合っていた。
そして、同じように捨てられた。
そして、同じように世界から背を向けた。
そして、同じ事を同じように願った。
「世界から全てのものがなくなればいいのに・・」
そして、願いが叶った。
どちらの願いが叶って、消えてるのかどうでもよかった。
そう、願いは叶ったのだから。
そして、お互いいつ消えるかわからない相手と、暮らした。どこに行きたいとか、そんなんじゃなくいつもの日常から何かが消えていくの楽しかった。
あったときはあったときで当たり前だったが、無くてもどうにかなるモンだった。
そして、皆それでも普通に暮らしていく。
何がなくなったか俺たちにしかわからない。
元は、無かったものを作り上げていった、文明の喪失。
だんだんと世界に色が無くなった。
いや、もともと色なんて無い。
たしか、光の屈折とか、反射でそう見えてるとか、聞いたことある。
きっと世界は元に戻ったのだ。
真っ白な世界。
ありとあらゆる食べものが無くなって二日目。
結構な人間が死んだのかもしれない。
ここにいるだけでは何もわからなかったが、動く元気もなかった。
どうやら、今日が人間がいなくなる日のようだ。
裸のままあいつと二人で死ぬ。
気付くと笑っていた。
そういえば彼の名前を聞いていない。聞く必要も無かった。二人でしか行動しかったから、名前なんて無くても話しかければあいつに違いないわけで、それでよかった。
「なぁ、君の名前は?」
「消える前にはおしえる。」
おたがいそう言っていた。
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