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『今日はもう車の教習ないの?』
妙な沈黙を先に破ったのはオフクロだった。
『今日はもうないよ』
『そう。話していい?』
『いいよ。』
灰皿をテーブルに置きタバコをくわえながら俺は言った。
『お父さんの事なんだけど……‥浮気してるかもしれないんだ。』
『えっ?』
その言葉でリビングの空気が一瞬止まった。
『確かなの?』
『お父さんの退職金が毎月スゴイ額引き出されてるんだ。』
オヤジの銀行が破綻した時、社員には今までの退職金が保障された。
そのお金は俺の学費でもあった。
でもよく状況が把握できずオフクロから詳しい話を聞いた。
オヤジが休みの日も会社に行ってるのは知っていた。
最近は少し会社も落ち着いてきていてその休みの日に、社員同士で温泉に行ったりしていたそうだ。
その時におろすといっていた額は10万、しかし実際に引き出されていたのは30万…‥。
確かに普通に考えればおかしい話だ。
でもその時の俺はオヤジ、オフクロのどっちかを選んで信用するという事ができなかった。
そんな事を考えてた俺にオフクロは続けて話だした。
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