違和感

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違和感

俺はもう親には何も頼れないという固定概念のような気持ちが出来上がってしまっていた。                          でもあの頃は強がる自分に必死だったのかもしれない。              そんな生活が続いていて家に自動車学校で必要な物を取りに戻った時、たまたまオフクロが家にいた。                          オフクロを見た時に俺は何か今までとは違う違和感を感じた。                          “やつれてる?”              オフクロを見た瞬間に感じた事だった。              よく近所からは笑顔でいい印象をうけるオフクロだが何だかどこか余裕がない感じがした。              だが、すぐに“久しぶりに見たからそう感じるのかな?”と思いオヤジの最近の状態や自分の話をした。              あれからオヤジは前に比べいつも帰りが馬鹿みたいに遅くなり休みの日も毎回会社に行き仕事をしているのだという。              “本当に大丈夫なのか?”そう思いながらも俺はまた自動車学校へ行きその日も帰らなかった。              後になり後悔するなんてこの時の俺は思っていなかった。              もう頼らないと、自分で全部できると信じていたから。              人は一人で生きていくなんて出来ないのも知らないで頼れるものも信じれるものもなく幼い考えにすがっていただけだった。                 順調なのか充実なのかわからない気持ちの生活が続いていた。              だがそれはただ単に、そんな希望や夢をなくさなければならない事が足音を立てて近づいている事に気付いていないだけだった。               2月も終わり卒業も近づいてきていた時だった。
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