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(ホントに今日はもう寝ちゃおうっと)
気持ちの盛り上がりで感情が散らばり、思考が波打つ様を実感していた紳士。
急いでパジャマに着替えると、脱ぎ捨てた制服をそのままに部屋の電気を落とす。
そのまま勢い良くベッドに滑り込み、一回だけ大きく息を吐き出して、今日のことをぼんやりと振り返る。
気持ちを少しでも落ち着けようと思っても、どうしても頭に浮かぶのは、商店街で見つけた花びらのことだけだった。
花びらを思い浮かべるだけで、収まらない鼓動が秒針を越える速度で時を刻み、淡々と更けていく夜の闇。
このまま朝を迎えるのだろうかと僅かな不安が心をよぎったものの、じっとそこに身を任せるその内に、やがて自然と紳士の瞼は閉ざされていった。
空に雲は無く、点在する星々に囲まれた青白い弓張り月が、たゆたうように闇の海に浮かんでいた。
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