🔔ぷかぷか

🚢沈没船

「付いてお出でよ」

ふくちゃんはさっさっと泳いで行く。
船の横腹に大きく空いた、丸い空洞。

そこだけ切り取られたように空く、丸い闇の中にふくちゃんは消えて行った。

急いでその後を追う。
空間に穴が空いたように闇が丸く切り取られている。

その前で息を止め、思い切って中に身を投じた。

ひんやりした海水が、ぞわり、ぞわりと身体に染み込んで行く。

"づめだい！"

前を涼しい顔で泳いで行くふくちゃん。

その後を身震いしながら追いかけた。
ドアがいくつか並んだ通路。

どこからかもれた光が僅かに通路を照らす。
その中を迷う事なく泳いで行くふくちゃん。

その後を追いかけて横に並ぶ。

「ねぇ寒くないの？」

「全然」

真ん丸ふくちゃんは何事もないように言う。

その時横に開いた扉の向こうで何かが輝いた。

なんだろう？
ふくちゃんの事を忘れて通路横に開いた扉の向こうに誘われて行く。

部屋の中はさらに暗くどこで光ったかわからない。

さらに奥に入って行く。
ベッドの上に腰掛けた腐った骨が出迎えた。

見た事のない奇妙な生物の化石。
その骨の骸骨が大事そうに抱えた宝箱が目に入る。

ぴかぴか光る綺麗な箱に吸い寄せられて行く。

蓋は少し口を開けていてどうにかすれば完全に開きそうだ。

よし体当たりして見よう。

狙いを定めて急降下。