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それは俺にとって、生まれて初めての挑戦だった――
ひんやりとした冬空の下。俺は待ち続けた彼女と向き合っていた。
弾けそうな心臓の鼓動に耐え、喉元で止まっていた言葉を…胸に秘めていた気持ちを吐き出す。
「……好きです。付き合ってください」
「ごめんなさい」
少しの沈黙も存在しない。即答で返ってきた答え。
結果なんて、わかっていたはずなのに……。
なぜか悲しい気持ちになった。
「わかりました。ありがとう……」
俺の告白した相手は同学年の女の子。
その時の俺はなぜか、敬語を使ってしまった。
その後、二人とも話すことなく黙ってしまった。
黙ってしまったことで、なんとも気まずい空気が流れる。
俺はそんな空気に耐えられなくなった。
そして、寂しく彼女に背を向け、この場から早く消えたいと思うと、いつの間にか走っていた。
――こうして人生初の告白……俺の挑戦は幕を閉じた。
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