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ガッシャーン…!!
「やめてください!!来週にはちゃんと返しますから。」
「何度それを言ったら気が済むんだ、お前は。こっちは半年以上も待ってんだよ。」
「だから、今回はちゃんと…」
「ふざけるなっ」
…朝からこんな声が聞こえてきた。私は16歳の高校二年生千崎 葵。私が起きると朝からこんなことになってて…
「きゃーっ」
お母さんの叫び声。
「ちょっと、何なんですかぁ!!」
思わず私は母をかばった。目の前にはスーツを着た大きな男が二人立っていた。
「お前、コイツの娘かぁ?邪魔だ、どけっ。」
ドンッ
私は男に投げ飛ばされた。
「イタッ!!」
思わず私は声を漏らす。
そこへ…「それぐらいにしてあげたらどうだ。」
また見知らぬ男が入ってきた。
「王、しかし…」
するとその男は私に近づいてくる。
そして私に話し始めた。
「はじめまして、私は黒匠 翼と申します。君は千崎 真弓さんの娘さんだね。君のお母さんは僕に借金をしてしまった。そこで私から条件を出す。」
「条件?」
「その条件を飲み込んだら借金のことは忘れると約束しましょう。」
「本当に?」
私は驚いて質問をする。
「もちろん。男に二言はないです。」男はニヤリと一瞬微笑んだ気がした。
「条件って…何ですか?」私は恐る恐る聞く。
「条件は…これから一年間、私の家のお手伝いとして住み込みで働いてもらう、ただそれだけです。どうですか、悪い条件じゃないと思いますが。」
確かに悪い条件じゃない、でもそこが逆に怪しい気がする…
しかし、私に考える余地はなかった。
「分かりました…。私、その条件のみます…!!」
「何言ってるの、葵。お願いです、娘だけは…」
母は泣きながら言った。
しかし、男は冷静に話し始めた。
「じゃあ、あなたは借金を返せるんですか?」
それっきり母は何も言い返せなくなった。
「お母さん、あたしは大丈夫だから!!」
できるだけ私は明るく振る舞った。
「よくできた娘さんですね。それでは早速、葵さん借りていきますね。」
「ごめんね…」
母は掠れるような声でそう呟いた。
私は思わず泣き出しそうになったのを必死にこらえた。
こうしてわたしの運命は大きく変わってしまったのだった。
しかし、私はこれがこれから起きるただの始まりでしかないことをまだ何も知らなかった。
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