開いた口は塞ぎましょう。

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 茹だるような暑さに目眩を覚えた。    夏の日差しというものは容赦を知らないようで、休むことなくアスファルトを焼き付けている。          第二帝国都市の中央に位置する施設 姫特別教育機関――通称 p.s.e.i ――。ここでは、今日も青空の下、滞りなく課外授業が進められていた。     「沙夜ー、生きてるー?」   「なんだい空ちゃーん。  たしかに暑さで死にかけだけど  気合いで粘ってるYO…」   「そか…。てか杏がいないよー。」      やる気なく間延びした会話を繰り広げるのは姫候補生と呼ばれる娘達なのだが、明らかに候補生であることを自覚していないであろう物言いと受講中の私語に、講師の女性は睨みを一層鋭くする。     「杏‥は……空が寝てる間に特別委員会のオッサンに連れていかれたヨッホーイ。」   「え、何。沙夜ったら暑さでイカレタ!?語尾明らかにおかしいぞ。」      講師の睨みなど微塵も気にせずに会話は進む。       「ダダダン!郁 さ ん は 見 た!!」   「なんか事件っぽく言ったね!意味は伝わってこないけどね!」   「あー…うん、まぁ、卒業試験についてじゃないかな?」     「試験‥」      
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