森の中で往きた少年

プロローグ

早朝の陽の光が深緑の木々の隙間を抜けて差し込んでくる…。
“ｻｳﾞｧﾝの庭”と誰が名付けたのであろうこの大陸の北西部に“ｾﾞﾈﾗﾙﾛｯﾂ”という穏やかな街の、更に少し西に歩いたところに“ﾊｷﾞｽの森”という静かな森がある…。
この“ﾊｷﾞｽの森”は文字通り“ﾊｷﾞｽ”という魔物が至るところに棲息している…云わば“ﾊｷﾞｽの住処”ともいえる迷いの森である…。
“ﾊｷﾞｽ”という魔物は周りが半透明の皮で覆われているため、内臓が丸見えになっており、尻尾と３本の触手の這えた陸上の魔物である…。見た目は凶暴だが、身体能力はそれほどなく、肉が非常に美味いということで、狩人では“ｻｳﾞｧﾝの産物”と言われている…。

この物語はその“ﾊｷﾞｽ”と森で迷った幼き少年の不思議な出会いから始まった…。