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たった数百の兵で、数千もの敵を打ち破ったのだ。その差、ざっと十倍。十倍の差をも越えた。俺達なら出来た。不可能は無かったのだ。
この戦いに勝って、無事に故郷へ帰れたら、どうしよう。まずは、死んだ義父に戦いの勝利を告げよう。あの夢が叶ったことを伝えよう。そして、俺の武勇伝をいっぱい聞かせてやろう。
義父はきっと喜んでくれるだろう。俺を誇りに思ってくれるだろうか?
その為にも負けない。負けられないのだ!
義父と自分の生涯の全てをかけた、この戦いだけは。
剣は、虚空を薙いだ。
突如、歓声が沸き起こる。
男が王の醜き首を鷲掴みにし、天上に翳した。王の首が男の手により討ち取られ、今まで罵られてきた民族が、本当の意味での自由を獲得したのだ。
皆が抱き合い、喜びを分かち合う。涙する者もたくさんいた。男も例外ではなく、泣いた。これまでの戦いで犠牲となった多くの魂達に涙を流した。
しかし、今、戦いは終わったのだ。長かった戦いにようやく終止符が打たれ、今、新しい時代が始まろうとしている。男は、そんな予感を全身で感じ取り、高らかに勝利の雄叫びを上げた。
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