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座ってからは
2人共無言だった。
でもその無言は気まずいものではなく
居心地のいいものだった。
彼女はというと物珍しそうに、
食い入るように僕の顔を見つめている。
「僕そんなに変わってますか?」
「いいえ。綺麗なお顔ね。お名前は?」
逆に質問された。
「僕には名前がないんだよ。」
だっていらないだろう?
「じゃあ、私がつけてあげる。」
えっ?
彼女の言葉に驚いた。
僕に名前をつける?
冗談かな。
と彼女を見ると
うーん…と首を傾げながら
考えている所を見ると
本気らしい…。
「決まった!!」
突然の大きな声に
驚いてしまった。
「あっ、ごめんなさい。すごくいい名前が浮かんだものだから…」
詫びるように彼女は言う。
「聞かせて?」
そう言うと彼女は嬉しそうに
話し始めた。
「あのね、貴方は空を飛ぶし
陸を歩くでしょ?だからね空陸と書いて(くうり)と読むの。」
いい名前でしょ?
と彼女は笑う。
「あぁ。いい名前だ。」
でしょ?
と自慢気に言い返す。
あぁ…、とても、いい名前だ。
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