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…窓が、開いていた。
僕は中に入る。
カタンッ
「誰かいるの?」
まだ20代くらいだろうか?
ベッドに横たわり
動くこともままならない女性がいた。
僕はベッドの横まで歩いて行く。
「誰?」
彼女は目が見えないのだろうか。
そう思いながら、
今まで何回も言って来た言葉を
また繰り返す。
「僕は天使でも、悪魔でも、死神でもない。でも天使でも、悪魔でも、死神でもある。」
「天使でも、悪魔でも、
死神でもないのにそうなの?」
ふふっおかしな人ねと
彼女は笑った。
だがどこか悲しそうだった。
「迎えに来たんでしょ?
ほんとにいるものなのね。」
「嫌じゃないの?怖かったりしないの?」
僕は聞いた。
「いいのよ。私は十分生きたから。
それに死ぬのは怖くない。
それより早く楽になりたいの。お願い。早く私を連れてって。」
僕は迷って、言った…
「わかった。
でもその前に聞いとくよ。痛みがある死に方か痛みがない死に方か...」
そう聞くと彼女は
「今まで苦しかったんだから一緒よ。でもどうせなら痛みがある死に方がいい。うんと痛みがある死に方…。」
彼女は涙を流して言った。
僕は黙って鎌を振り下ろした。
痛みがある死に方がいいっていったけど
サービスだ。
痛みなく連れて行ってあげるよ。だって君は本当は痛みが嫌いだろう?
「さようなら。」
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