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シュリ狐 は あたり を キョロキョロ と
見回して 首 を かしげました
「一体、いまはいつ?」
なんの こっちゃ
ガビ犬 も 首 を かしげました
「俺は一体、どれくらい眠っていたのだろう」
シュリ狐 が ぽつり と 呟き ました
「永かったような気もするし、短かったような気もする」
ガビ犬 は 首 を もっと かしげました
すると シュリ狐 は ガビ犬 に 尋ね ました
「いまの征夷大将軍は、だあれ?」
せーいたいしょーぐん?
分からない と ガビ犬 は 言いました
「そんなことも知らないのか!!犬のくせに」
「だってガビ、のら犬だもの」
「犬ものら犬も差は無いさ、まったくね」
シュリ狐 は また 辺りを 見回しました
「おい、あのたくさんの明かりは何だ?行軍してるのか?」
「こーぐん?あれは電気だよ」
「でんき?」
シュリ狐 は 不思議そうに
明かり を 眺めて いました
「でんきとは何だ?松明よりも明るい」
「わかんない、でも電気があると夜も明るいよ」
「ふうん…」
シュリ狐 は 街 の 明かり から
目 が 離せません
「あの町が見たい、ガビ、案内しろ!!」
「ガビだって今日初めて来たんだよ」
「いいからいいから、大丈夫」
何 が 大丈夫 なんだ
ガビ犬 は 仕方なく 山を 下りました
街燈 に 明かり が ついて
夜道 も 便利 です
ガビ犬 と シュリ狐 は 夜道 を歩きます
「おかしいな…前とぜんぜん違う、ここ日本だよな?」
「多分、日本だよ」
「だよな…」
シュリ狐 は 何だか 不安げ です
ガビ犬 は 困りました
何が 困るか って
さっきから お腹が すいてるのです
「いったい、俺は…」
シュリ狐 が 立ち止まりました
人間 は 誰も 歩いていない 夜道で
シュリ狐 は 言いました
「独りぼっちになったのだろうか」
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