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「独りぼっち?」
ガビ犬 は 聞き返します
シュリ狐 は 答えません
「三郎も、竹千代も、死んでしまったのか」
ガビ犬 は 何 も 言えません
その時 ぽつり と 冷たいものが 落ちました
見上げる と 雨 でした
ぽつり ぽつり と 雨 が降り
ガビ犬 の 灰色 の 体 は
雨 で 濡れて ゆきます
「シュリ、雨だよ…」
ガビ犬 が 言っても シュリ狐 は 何も 言いません
「ねえ…雨宿りしなきゃ…」
濡れてしまうよ と 言おう として
ガビ犬 は 気付き ました
雨 が こんなに 降って いるのに
シュリ狐 の 体 は 全然 濡れていません
それどころか ぼんやり 光って います
「シュリ…」
「死んでしまったんだな」
シュリ狐 は 言いました
「俺が眠っている間に…日本は変わってしまったんだな。」
そう言うと シュリ狐 は 目を 閉じました
「俺…帰る…。じゃあ」
すると だんだん シュリ狐 の 体 は
透明 に なっていきます
「シュリ、からだが…」
「ガビ…」
半透明 に なった シュリ狐 は
ガビ に 向かって
「ばっちいぞ、お前」
と 言って 消えました。
「ちょ…今言うのか、このタイミングで!!」
ガビ犬 は ちょっと しんみり したのを 後悔 しました
独りぼっち に なった ガビ犬 は
仕方なく 近くに あった お地蔵様 の 祠 で 雨宿り しました
ぐうぐう と お腹が なります
お地蔵様 も お供え物 が 無いからか ちょっと 寂しそうな 顔 を していました
しかたない 寝よう
ガビ犬 は 空腹 を まぎらわす ため 寝ることに しました
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