はじめまして

6/6
前へ
/124ページ
次へ
  ガビ犬 が 朝 起きると 空は もう 晴れて いました ガビ犬 は 大きな あくび を して 朝ご飯 を 食べに ゴミ置き場 を 探します ひとしきり 漁って お腹を 満し また あの山 へ 向かいました   シュリ狐 が 心配 だった からです くねくね した 山道 を登って 山 の てっぺん まで きました   キョロキョロ と 辺り を 見回し ますが シュリ狐 の 姿 は 見えません ガビ犬 は くんくん と匂い を 嗅ぎました   遠い 昔 の 煙 の 匂い です   ガビ犬 は その 匂い の する方 へ 歩いて いきます 草むら を かきわけて 辿り着いた 場所 は 小さな 小さな 神社 でした 赤い 鳥居 を くぐると 右と 左 に 狐の 像 が あります   「…シュリのおうち?」   ガビ犬 の 前の うち より 何百倍 も 立派だと 思いました   「ばっちいガビ?」   中 から 声 が して シュリ狐 が 出てきました   「またきたの?暇なやつ」   「シュリ、寂しそうだったから」   「なあん」   シュリ狐 は 笑いました   「寂しくなんかないさ、まったくね」   「ほんとう?」   シュリ狐 は 頷き ました   「三郎も、竹千代も、きっと今頃この世界を見て笑っているよ」   ガビ犬 は はてな? と 首を かしげました   「自分たちが夢見た、この世界を見て笑っているさ」   シュリ狐 の 言ってる こと は 難しくて よく 分かりません が シュリ狐 が 嬉しそうに 笑って いるので まあ いいや と 思いました       「で、ばっちいのら犬ガビ助!!」   なまえ 長くなった ガビ犬 は ちょっと 困りました なまえ が 長い と 覚えられません ばっちい まで しか 覚えられません   「お前のうちはどこ?」   「のら犬にうちなんか無いよ」   「ふうん」   シュリ狐 は 適当 な 返事 を しました   「うちが見つかるまで、ここにいてもいいよ」   「いいの?」   「パシるけどね」   こうして ガビ犬 は しばらく この 神社 に 住むことになりました  image=174831809.jpg
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加