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ガビ犬 が 朝 起きると
空は もう 晴れて いました
ガビ犬 は 大きな あくび を して
朝ご飯 を 食べに ゴミ置き場 を 探します
ひとしきり 漁って お腹を 満し
また あの山 へ 向かいました
シュリ狐 が 心配 だった からです
くねくね した 山道 を登って
山 の てっぺん まで きました
キョロキョロ と 辺り を 見回し ますが
シュリ狐 の 姿 は 見えません
ガビ犬 は くんくん と匂い を 嗅ぎました
遠い 昔 の 煙 の 匂い です
ガビ犬 は その 匂い の する方 へ 歩いて いきます
草むら を かきわけて
辿り着いた 場所 は
小さな 小さな 神社 でした
赤い 鳥居 を くぐると
右と 左 に 狐の 像 が あります
「…シュリのおうち?」
ガビ犬 の 前の うち より
何百倍 も 立派だと 思いました
「ばっちいガビ?」
中 から 声 が して
シュリ狐 が 出てきました
「またきたの?暇なやつ」
「シュリ、寂しそうだったから」
「なあん」
シュリ狐 は 笑いました
「寂しくなんかないさ、まったくね」
「ほんとう?」
シュリ狐 は 頷き ました
「三郎も、竹千代も、きっと今頃この世界を見て笑っているよ」
ガビ犬 は はてな? と 首を かしげました
「自分たちが夢見た、この世界を見て笑っているさ」
シュリ狐 の 言ってる こと は 難しくて よく 分かりません が
シュリ狐 が 嬉しそうに 笑って いるので まあ いいや と 思いました
「で、ばっちいのら犬ガビ助!!」
なまえ 長くなった
ガビ犬 は ちょっと 困りました
なまえ が 長い と 覚えられません
ばっちい まで しか 覚えられません
「お前のうちはどこ?」
「のら犬にうちなんか無いよ」
「ふうん」
シュリ狐 は 適当 な 返事 を しました
「うちが見つかるまで、ここにいてもいいよ」
「いいの?」
「パシるけどね」
こうして ガビ犬 は しばらく この 神社 に 住むことになりました
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