プロローグ

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その光景と姿に先代様方はこの螺旋に住まう精霊を彷彿とさせられた。   しかし精霊がこの様な街中に姿を現すなど普通ではないと悟った先代様の一人が言った…   『あなたは精霊なのか…何故此処に居られる』   精霊に錯覚された自由体は放っている白き光を瞬かせながら言う…   『私は精霊とは否成るもの。皇よ…聞くが良い…私は『至高の意志』を『自由体』に宿して『自由志物全操体』と成りこの螺旋に降り立った』   その聞かぬものの正体を悟れぬ先代様方は戸惑う以外の何も出来無かった。 して騒めく中また一人先代様が口を開く…   『何者か知らぬが自由志物全操体、そなたは何故…如何なる目的で此処へ来られた』   自由体が更に一段と白き光を強めて言い出す…   『皇々よ、汝らは限りの有るやがて朽ち逝く器、脆く…そして時には崩壊するその意志とで不自由ではないか?憂いはないか?安心するが良い…私が汝らに何事にも折れず、全てを合理的に治める『至高の意志』と、傷付かず、果て逝かぬ『自由体』を授け、皆『自由志物全操体』にして遣わそう』   事態が呑み込めぬ先代様方は更に惑う…   『つまり…何をしようと』   状を為しているのか判らない自由体の様子は伺う事が出来無い。 その姿伺えぬ自由体の挙動が変わる事はない。   『汝らを私と同じ『自由志物全操体』にし、それで世界を埋め尽くそうと言うのだ。否…そう在るべきなのだ。そう在れば全ては上手く行く…偶然に私一つが『自由体』を手に入れてしまったが、直ぐに汝らも同じにしてやる。私は私以外の『自由志物全操体』を創りに掛かる…ではさらばだ、待って居よ…希望溢れる未来を…』   そう言い終えると自由体は煌めきの雫を零しながら天へ昇っていった…   同じにしてやる…   つまりは自分達も彼と同じにされると告げられ、その場に残された先代様方は…
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