23人が本棚に入れています
本棚に追加
突抜けるような青空。
その空を切り取らんと、大きく枝を伸ばした木々からは、蝉達の合唱が鳴り止む事なく続き、陽炎が浮かぶ程に強い日ざしに照らされながらも、枯れる気配すらなく流れ続ける清流には、大小様々な魚達が、思い思いに踊る。
それが、毎年変わらぬ、この町の夏風景。
そして、その風景の一部として、一軒の家が、町外れに、ひっそりと佇んでいた。
喫茶店『ナチュラル』
外国人が建てた家を改築したという外観は、所々色が剥がれているが、白一色に統一され、オープンテラスに立てられたパラソルも白色なのは、今の店主のセンスなのだろう。
さすがに、この暑さの中、テラス席を利用する客はいない。
最初のコメントを投稿しよう!