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と。店のドアに備え付けられたベルが、カランと乾いた音を立てて、来客を知らせると、青年は、ものすごい早さでドアの方へ向く。
お客が来ないからと、青年が、さっさと閉店にしないのは、こうして、気まぐれに来るお客のためだけ…ではない。
「よ~っす! 誠店長!」
少なからず期待を込め、来客を迎えた青年…誠は、一転、心の底から落胆して呟く。
「なんだ、源さんか…」
「なんだはねぇだろ。せっかくこうして暇なこの店の売り上げに貢献してるんだからよ」
源さんと呼ばれた、初老の男性は、誠の様子を歯牙にもかけず、豪快に笑いながら、カウンター席に座った。
「それは、感謝してますけど、何度も言うように、店長って呼ぶの止めてもらえますか? 俺は、ただの代理なんですから」
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