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昔、それを売りに客を呼ぶ提案をしようと思った事もあったが、それを許可するような人だったら、閑古鳥の鳴く店内にはならないだろうと、敢えて言わなかった事を、誠は、ふと思い出す。
「確かに、豆のせいもあるけどよ。作り手の腕が悪けりゃ台無しだろ。もう、店長にも負けてねぇよ」
嘘の無い言葉。
「…まあ、そこそこ長く働いてますから」
そう分かっているからこそ、誠は、頬が熱くなるのを隠して、応えた。
「確かに。俺も老けるわけだ」
「いやいや。源さんは、変わりません。若い、若い」
「なぁに、年寄りおだててんだよぉ」
「お世辞じゃないですよ」
「ほぉ~、じゃあ、ありがたく受け取っておくかぁ」
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