Boy meets girl

7/10
前へ
/66ページ
次へ
 昔、それを売りに客を呼ぶ提案をしようと思った事もあったが、それを許可するような人だったら、閑古鳥の鳴く店内にはならないだろうと、敢えて言わなかった事を、誠は、ふと思い出す。 「確かに、豆のせいもあるけどよ。作り手の腕が悪けりゃ台無しだろ。もう、店長にも負けてねぇよ」  嘘の無い言葉。 「…まあ、そこそこ長く働いてますから」  そう分かっているからこそ、誠は、頬が熱くなるのを隠して、応えた。 「確かに。俺も老けるわけだ」 「いやいや。源さんは、変わりません。若い、若い」 「なぁに、年寄りおだててんだよぉ」 「お世辞じゃないですよ」 「ほぉ~、じゃあ、ありがたく受け取っておくかぁ」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加