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淡い桃色の写真立てを伏せて僕は歩いてゆく…
……サァ―…
『…雨か…』 聞くと心地良い子守唄のような雨が降っている。
バタン!
僕はちっぽけな六畳一間のアパートを出た。
僕の名前は『リョウ』普通の大学生で、朝は学校、夜はコンビニでバイトの忙しい毎日を送っている。
今時のファッションや、流行に気を使う俗に言う今時の若者だ。
パシャパシャっ
雨で濡れた道路を鞄で頭を覆いなるべく濡れないように学校へ走った。
『なぁ、昨日の合コンどうだった?』
学校につくなり、いきなり喋りかけてきた男がいる。こいつの名前は『ケン』。
ケンとは中学からの付き合いで、非常に面倒見がよく頼りになり、何でも話せる1番の親友だ。
『ん~微妙だったね。ってかお前なんで来なかったの?』、と僕はケンに尋ねた。
『ワリィ!急にバイトが入っちゃってさ!』
ケンが申し訳なさそうに答えた。
『そっか。』
と、リョウが答えてすぐにケンが問いかけた。
『ところでお前は彼女作らねぇの?』
『……ん~特に今は予定はない。』
と僕が答えると、ケンが呆れた顔で
『かぁ~寂しいヤツだねぇ。お前、まだマキちゃんの事引きずってんのか?』
『……そんなんじゃね~よ』
と僕は顔をそらすように答えた。
ケンの言う『マキちゃん』とは僕が1年前まで3年間付き合っていた彼女だ。
おしとやかで、優しく、みんな好かれるような女性で僕の自慢の彼女だった。
1年前、ささいな口喧嘩で別れてしまい、僕はもうれつに後悔していた。
あの時、ただ素直に一言『ごめん』と謝っていれば…と。
引きずってないと言えば、それはウソになるだろう。今でも時々思い出す、あの幸せだった時間を。
すごく愛していた。
この人とならどこまでも歩いて行けると思ってた。
二人でいる時間が最高に幸せだった。
もうこれ以上の人はいないと思ってた。
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