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巷の情報によると、どうやら盗賊やら魔物やらを大量に発生させている連中が近くに潜んでいるらしい。
その話を踏まえた上でタツキが依頼してきたのはこんな事だった。
「お前には連中のアジトを突き止めて欲しい訳。そしたらこっちに連絡してくれれば、後はオレらがどうにかする」
「わかった」
僕はそれを二つ返事で引き受けて、テーブルに広げられた地図に再び目を通した。周囲の地形に変更はないか、改めて確認する。
……特に変更点はなさそうだな。そう悟った僕は、先刻胸にしまった疑問をぶつけようと顔を上げたが、意外にも僕より先にタツキが口を開いた。
「婆ちゃん、オレと一緒に出てきたんだ」
「え?」
タツキは頭の後ろをかきながら、いったん止めた言葉を再び紡ぐ。
「お前が七年前に都を飛び出した後、お前を捜索するよう言われてオレも都を出た。そんときに婆ちゃんも一緒だった訳よ」
期せずして自分が抱いた疑問に対する完璧な解答が得られたため、僕は返す言葉を失った。
――そう、彼はこちらで僕の生い立ちを知る数少ない人物でもあったんだ。
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