プロローグ

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 程なくして、目の前に横倒しにされた丸太が現れた。一晩野宿するにはもってこいの環境を安易に見つけられた幸運に感謝しながら、丸太に背を預けて腰を下ろす。  肩に掛けたカバンをその場に転がしておいて、一人空を見上げる。  先刻まで顔を出していた太陽は、いつの間にか水平線の彼方に姿を消していた。  ――また、一日が過ぎ去ろうとしているな。  数時間もの間、僕はぼんやりと空を眺めていた。漆黒に包まれたそれが点々と煌めきを示した時、ようやくその漆黒が周囲にも漂い始めていると気付き、空から視線を外す。  座り直してから、腰に差していた鞘を取り外し、そこから剣を引き抜いた。鋼の光沢が目に飛び込んでくる。  簡単に手入れを済ませてから、再び鞘に戻して傍らに立てかけた。  カバンに忍ばせていた水の滴る林檎を夕食代わりにした僕は、丸太に寄りかかりながら徐々に眠りの世界へと誘われていった。
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