追憶の起点

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「次に証人、証言台へ。」 どうやら当の目撃者だと思われる人が証言場所へ立つ。 次に横から検察官らしき人物が歩み寄る。 「では裁判長、尋問を始めさせてもらいます。」 裁判長が軽く頷き、検察官と証人のやり取りが始まる。   「まずあなたの名前を教えてください。」 「あ、はい。石井 健二といいます。」 証人は30歳くらいの男性で、少し緊張しているのかしきりに汗を拭いている。 「早速ですが、あなたがこの事件に関して知っていることを話してもらえますか?」 「そうですね、確か一週間前の夜中の2時くらいだったと思います。その日は、夜遅くまで仕事仲間と一緒に飲んでいて、その帰りに偶然通りかかったところで殺人現場っぽいところに出くわしたんですよ。」 「それを見た後はどうしました?」 「その後はすぐに頭が追いつかなくて少しの間固まっていましたが、犯人がすぐ近くのアパートに逃げ込んだのでとっさに警察に電話しました。」 「そして警察が来て犯人を捕まえて行った。それで間違いありませんね?」 「はい、その通りです。」 ここまで聞けばもうほとんど確定だろうね。  
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