追憶の起点

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「最後に、あなたが見た犯人というのは、あそこにいる被告人と同一人物ですか?」 「えっと…」 石井さんが被告人を見る。 しかしなにか様子が変だ。さっきから汗をかいてたけど、今の量は少し異常じゃないか?   その時だった。いきなり証人の石井さんがその場に倒れこむ。 息が乱れて苦しそうな表情をしていた。 「石井さん!大丈夫ですか!?」 検察官が駆け寄って様子を見ている。 「誰か救急車を!」 そういうと横にいた他の検察官が急いで電話を取り出す。 法廷内もかなりざわつき出してきた。 「敬介、大丈夫かな?」 「結構大丈夫じゃないかもしれないね。とりあえずおやじさんに電話して事件担当のほうの警察も呼んだほうがいいみたいだ。」 「え?なんで?」 「これが自然な発病でなったなら呼ぶ必要はもちろんない。でも、もしこれが仕組まれた罠だったら…?」 僕がおやじさんと呼んだのは瑞穂の父さんのことだ。 検察官と普通の警察では管轄が違う。本当に今事件が起きたのなら検察官では何も出来ない。 もしも僕の推測が正しかったら… あの奥にいる被告人はホントにとんでもないやつになるな。  
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