追憶の起点

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少しして救護の人達が石井さんを運び出す。 大丈夫かな…。   それに構わず被告人の弁護士が口を開いた。 「裁判長、不測の事態は起きましたが、こちらにも証人が用意されています。その尋問に移ってもよろしいでしょうか?」 不測の事態が起きたってのにいやに冷静だね…。 やっぱりグルになって計画してたのか?   「わかりました。証人を呼んできなさい。」 「ありがとうございます。入ってきてくれ。」 新しい証人が入ってきて裁判が進んでいく。   「単刀直入にお聞きします。事件の時あなたは何をしていましたか?」 「その時間はそこの被告人と電話をしていました。通話記録も残っているはずです。内容は……」 「裁判長、この証人は犯行の時間被告人と電話をしていました。もしそれが正しければ被告人に犯行は行えないことになります。」   証人の回答が単純すぎるし、なんかすらすら喋りすぎじゃないのかな? 普通、初めてこういう場所に立つ時は少なからず緊張するはず…。 絶対に作られたアリバイだ。 どうしよう、このままじゃ被告は無罪で釈放されてしまう…。 二つも罪を起こしたのにこのまま逃がすわけには行かない。 でもどうやってそれを証明すれば…?  
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