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道には木が立ち並んでいるので日陰が出来ていた。
今日の春先の暖かさと、階段を上って来た暑さが重なってたから、この日陰のひんやりはちょうど良かった。
風で木の枝が揺れてこすれる音も、他に邪魔する音がないから心の芯にまで響いてる。
久しぶりに感じたものはどれも心地のいいものだった。
並木のある遊歩道をゆっくりと堪能しながら歩いていく。
その並木が途切れると、目的の場所が目の前に広がる。
僕はその中へ行き
「久しぶりだな、瑞穂。」
と話しかけた。
…でもその先には誰も立っていない。
なぜなら僕が話しかけたのは…
お墓だから。
そう、ここはとあるお寺にある墓地なのだ。
そしてここで眠っているのは僕が瑞穂と呼びかけた女の子…、僕がこの世で一番愛していた人でもある。
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