追憶の出端

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消す…?何のことだ? それよりも眠いんだから少し静かにしてくれよな…。 こんなことを考えながら僕はもう一眠りしようとする。     「敬介!」 「はい!?」 いきなり大きな声で呼ばれて思わず立ち上がってしまった。 落ち着いて周りを見る。 ここは…   …あ、教室か!   気づいたときにはもう遅かった。 「オホン、白取君、ちゃんと目は覚めたかな?」 「どうもすみません…」 とりあえず謝っておくことにした。 ここは僕が通っている大学。そして今は授業の真っ最中なんだけど…。 「さて、寝るほど余裕な白取君にこの事例を考えてもらおうかな。」 そう先生に言われてしまった。まあしようがないか。   僕は黒板に目を通す。   そこには箇条書きで状況が書かれていた。 ・被告人は20歳の若い女性。 ・殺人未遂で懲役2年の刑が確定されていた。 自分がもしその女性を弁護する時、どのようにしたら最善の方法か。というものだった。   被告人は一審でなにも抗議をしていない。そのせいで殺人未遂における最長の懲役に処されている。  
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