追憶の出端

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「何柄にも無く真剣になってんのよ。今の法律は、先人が少しずつ改良して出来上がってるんじゃない。確かに矛盾してる所も多いけど、確かに機能はしてるよ。」 「…って、この前の講師が言ってたことそのままじゃん。」 「あれ?そうだっけ?まあ硬いことはいいじゃない。」 「ったく…。」 お調子者の瑞穂らしい。確かにそうかもしれないけど…。   「じゃあ何で敬介は法律なんか勉強しようと思ったの?」 「うーん、なんでだろ?自分でもわかんないや。」 「でた、適当人間。」 「瑞穂に言われたくないし。」 二人であははと笑い始める。 少し落ちてたムードも、これで明るくなる。それが瑞穂のすごい所だ。 ムードメーカーというか、いつも楽しませてくれる。 多分、そんな所に僕も惹かれたのかな?     一日の授業が終わり、僕と瑞穂は一緒に帰り道についていた。 「そういえば敬介も今度の傍聴に行くよね?」 「ああ、やっぱり勉強してるからには少し聞いておかないとね。」 傍聴とはもちろん裁判のだ。 別に弁護士や検事になる訳でもないけど、裁判を聞いておくのはいい参考になる。   それに…、瑞穂もいるから退屈することも無いかな。
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