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「…全てを捨てるってことだろ?
わかった。いや、正確には分かんない事ばっかだけど……。
それでも、今を変えれるなら。全てを変えれるなら…。
それなら、俺はお前に従う」
俺は仮面の下から彼女を見つめ返す。
強い意志を込めて。
少しの間の後、彼女はポツリとつぶやいた。
「……よかった」
……よかった?
「…よ、よかったって。おい、どーゆー事だよ?」
突然の一言に僕は驚きを隠せず、彼女に質問しなおす。
そんな慌てている僕を尻目に彼女は急に声色を変え、茶目っ気のある声でこう話し始める。
「あなたなら、そう答えてくれると思ったわ。
正直、あなたがそう言ってくれなかったらこの場であなたを消すしかなかったのよね。姿を見られちゃったから。
そーゆー掟があるのよ。
あー、本当に焦ったわ!」
んーっ! っと彼女は背筋を伸ばし、にっこりと微笑んだ。
(なんなんだ、こいつ)
俺はまたもや訳が分からず、パニックになった。
「……ちょっと待ってくれ。わからない事が多すぎる。
まず、その、説明してくれ。
お前は誰なんだ?なんで仮面をしないんだ?掟ってなんなんだ?」
僕はそう一気に言い切ると、彼女をもう一度見る。
「んー、そうね…」
少しの間、彼女は顎に手を当て考えるような素振りを見せる。
「あなた、今を変えたいって言ったわよね?」
確かめるように彼女は問い詰めてくる。
その眼差しはさっきの笑顔の時とは全く違い、これから話す事がどれだけ重要かが伝わってくる。
僕もそれに答えるように、真剣な眼差しで訴えるように問いに答える。
「あ、ああ。こんな日常、いらない。
俺は全てを変えることができるなら、どんな事だってしてやる」
彼女は僕を見る。
僕も彼女を見る。
彼女の青色に光る瞳は僕の目を真っ直ぐに見ている。
まるで僕の心、その物も見透かしてしまっているようだ。
しばらく見つめ合い、そして彼女はゆっくりと口を開いた。
「……よし。あなたの気持ち、よくわかったわ。私について来なさい。
あなたに私の…
いいえ。私たちの全てを教えてあげるわ」
「私たち……?」
さっきから彼女の言っていることはいまいちつかめない。
彼女は2、3歩前に進むと、長い髪をなびかせくるりとこちらを振り向く。
そして、今まで僕が妄想の中でしか無いと考え、現実には存在を否定し続けていた言葉をその口にした。
「ようこそ、反仮面主義軍へ!」
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