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「そ、それにしてもまだ着かないのか? もう結構歩いてないか?」
答えはきっと変わらないがとりあえず質問してみる。
「まったく。あなた本当にせっかちなのね…」
彼女はわざとらしく両肩をすくめ、やれやれと首を左右にふった。
「お、お前…」
「しいっ」
僕が反論しようとした時だった。
彼女は急に立ち止まり、僕の顔前に人差し指をたて黙れという合図をした。
彼女は僕に向けている手とは反対の手を何も無い壁にピッタリとつけ動かずにいた。
そのままの状態が5分程続いた時だった。
「よかったわね! あなた、これで今から正式な軍のメンバーよ!おめでとう!」
彼女は突如こちらに向き直り、満面の笑みで僕の両手を握り締めた。そして激しく上下にふりだす。
本当に突然の言葉に僕はポカンとしていた。
そんな僕の心境を悟ったのか、彼女は僕の顔を覗き込み笑いかけた。
「そりゃ驚くわよね。 急に軍のメンバーになっただなんて! でも心配しないで。皆好い人ばかりよ」
ニッコリと笑顔のままだ。
(いや、それも気になるけど一体どうやって外部と連絡を?…)
「…あ、いや。そーじゃなくて今……」
ガション!ガリガリガリガリガリガリ……
僕が質問しようとした時だ。
壁から突然、盛大な機械音が鳴り始めたのだ。
あまりの音の大きさに僕は握られた手を離し、思わず両耳を塞いだ。
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