第三章

4/4
前へ
/65ページ
次へ
機械音のする方を見てみる。 音はトンネルいっぱいに反響していたが、どうにか音源を見つけた。 それはまさに、今自分と彼女が立つ真横の壁からしていたのだ。 壁は動いていた。 彼女が手を触れていた部分を中心に、5メートル程の幅の壁がゆっくりと、激しい音をたてて上昇しているのだ。 隙間からは薄暗いトンネルとは違い、眩しい明かりか漏れだしている。 僕は思わず目を細めた。 そしてしっかりと壁の向こうを見ようと手をかざし、明かりをなるべくさえぎろうとした。 ガリガリガリガリ… ガション!  激しい音とを最後に扉が上がりきった。 トンネルの薄暗さに目が慣れていた僕は思わず一瞬目をつぶる。 そして恐る恐る目を開ける。 目が明るさに慣れるまでそう時間はかからなかった。 目をしっかりと開け、前を見据える。 そこは開けた部屋のようになっていた。 壁も床も天井も、明かりまでもが真っ白だ。 3メートル程前に白いコート着た大人が5人程並んで立っている。 (ここが本部?…) 僕は呆気にとられていた。 タタタッ… そんな僕の横を彼女が走りすぎ、右端に立つ青年の元に走り寄っていってしまった。 そんな彼女の後ろ姿をぼーっと見ている時だ。 真ん中に立つ、背が高く体付きがしっかりとし、これまたしっかりとした髭を貯えたスキンヘッドの男が、突然張りのある声でこう叫んだ。 「ようこそ少年! こここそが我々、反仮面主義軍の本部である!」 その声は部屋中に響き渡り、先程の機械音にも負けないくらいの大きさだった。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加