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機械音のする方を見てみる。
音はトンネルいっぱいに反響していたが、どうにか音源を見つけた。
それはまさに、今自分と彼女が立つ真横の壁からしていたのだ。
壁は動いていた。
彼女が手を触れていた部分を中心に、5メートル程の幅の壁がゆっくりと、激しい音をたてて上昇しているのだ。
隙間からは薄暗いトンネルとは違い、眩しい明かりか漏れだしている。
僕は思わず目を細めた。
そしてしっかりと壁の向こうを見ようと手をかざし、明かりをなるべくさえぎろうとした。
ガリガリガリガリ… ガション!
激しい音とを最後に扉が上がりきった。
トンネルの薄暗さに目が慣れていた僕は思わず一瞬目をつぶる。
そして恐る恐る目を開ける。
目が明るさに慣れるまでそう時間はかからなかった。
目をしっかりと開け、前を見据える。
そこは開けた部屋のようになっていた。
壁も床も天井も、明かりまでもが真っ白だ。
3メートル程前に白いコート着た大人が5人程並んで立っている。
(ここが本部?…)
僕は呆気にとられていた。
タタタッ…
そんな僕の横を彼女が走りすぎ、右端に立つ青年の元に走り寄っていってしまった。
そんな彼女の後ろ姿をぼーっと見ている時だ。
真ん中に立つ、背が高く体付きがしっかりとし、これまたしっかりとした髭を貯えたスキンヘッドの男が、突然張りのある声でこう叫んだ。
「ようこそ少年! こここそが我々、反仮面主義軍の本部である!」
その声は部屋中に響き渡り、先程の機械音にも負けないくらいの大きさだった。
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