第二章

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その日僕は、いつものように学校へ行き、いつものように退屈な授業を丸1日耐え抜いた。 キーンコーンカーンコーン… 終業の鐘が校内に響き渡る。 僕は一度、大きく溜め息をつくと、さっさといつもの家路へと着いた。 いつもの道を通り、いつもの並木道に差し掛かるとまっすぐにお気に入りのベンチへと向かう。 そして、いつものようにイヤホンを取出し耳にはめ、両目を閉じ音楽の世界に心を浸す。 少しの間音楽の心地良さを楽しむと、目を開け自分の考えを巡らせる時間を作る。 今日は何故かわからないが、この川の流れがとても気になった。 考えてみると、僕はこの川について何も知らないでいた。 別に全く興味が無い訳ではなかった。 ただ単にとりわけ調べようとも、よく観ようとも思った事がなかった。 それだけのことだ。 しかし、ただタイミングが悪かっただけだったり、その時の気分で知ろうともしなかっただであったとしても、名前すら知らないままこのように長い間通いつめていた訳だ。 なんとも気持ちが悪い話だ。 僕は時たま、このように変なとこで几帳面さが出てしまう。 悪い癖だという自覚はある。 ただそれが僕の性分なのだ。 仕方ない。 今分かることも何かしらあるだろう。 そう思い、この川をよく観察してみることにした。 匂い、そして川底が見える程に綺麗に澄み切っているところから、どうやら下水道等には使われてはいないらしい。 現にこの周りには、元より下水道と呼ばれるものがたくさん地下を通っている。 そのため、この川だけは綺麗なままの形で残しておこう、と地域の人間が管理しているのだろう。 川岸の周りはコンクリートの壁でしっかりと覆われている。 コンクリートの壁2メートル程の高さがあり、その壁の上は並木道が続き、所々にベンチが拵えてある。 コンクリートやベンチの感じからしても、余程昔からあるものとも思えない。 横幅は11、12メートルはあるだろうか。 コンクリートの壁側、川の中程には所々砂利が堆積し、中洲のようなものができあがっている。 そこには野生の鴨やらアヒルやらが住み着き、呑気に体を丸め、気持ちよさそうに眠りこけている。
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