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(……なんだ、あれ?)
川にある中洲を眺めている時、それはふと目に入った。
それは川上から流れてきたのだろう。
中洲から生えている背の高い草に引っ掛かり、水面でユラユラと揺れていた。
嫌な予感がする。
僕はまさかとは思い、ベンチから立ち上がりよく目を凝らして見た。
(おい、マジかよ……)
僕の予感は的中していた。
そう、そこに浮いていたのは紛れもなく、誰かの仮面だった。
僕は慌てた。
普通に考えて、
仮面がそこらに落ちている。
なんてことはあり得ない。
いや、あってはいけないのだ。
あの仮面が他の人間に見つかれば、この仮面の持ち主はきっと捕まってしまう。
それに何といっても、その仮面に写る顔はとても美しかったのだ。
僕は仮面を見つけた瞬間、仮面に一目惚れしてしまっていた。
僕はカバンをひっつかみ急いでコンクリートの壁を降り、川に入っていった。
川は上から見るよりは遥かに浅く、脛の程までしかなかった。
制服が濡れるのもかまわず、急いで少女の仮面に走りよった。
僕はおもむろに仮面を手に取る。
近くで見ると、仮面はより美しく見えた。
まだ若いのだろう。
恐らく歳は僕と大して変わらないくらいだ。
少しの間、じっと仮面を眺めていた。
そんな時、川上の方から鳥が羽ばたく音がし、僕ははっと我に返った。
音のした方に、素早く目をやる。
少し川上の方には橋が架かっている。
その橋の下にぽつんと立つ少女がいた。
そう、この仮面の持ち主だ。
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