痂は黒く

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月を見上げる度に流してしまうあの娘の夜の雫は、僕の勇気へと繋がっていくのだろうか。 勇気を奮い起こし、全ての針を無くすべくもがき狂う。 針は減りゆくとはいえ痛みは変わりそうにはない。 流れる血も限りがあり、かすれる意識と揺らぐ気持ちへと堕ちてゆく。 まだ足りない、想いを繋ぐにはまだ足りない。 あの娘の悲しみに比べれば、こんな痛みじゃまだ足りない。
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