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もう夏休みだっていうのに、何故だか俺は毎日のように学校に来ていた。
理由なんて特にない、なんとなく足が向く。
それだけ。
というのが半分と、あとは…。
「村上!遅なってごめんな、待った?」
安達先生との密会が目的だ。
「…遅いよ、センセー。むちゃくちゃ待った、5時間くらい」
「ははっ!大袈裟やなぁ」
「 …… 」
「…ごめん」
勢い良く扉を開けて入って来たセンセーは、少し息を切らせて、額にはジワリと汗を滲ませながら、すまなそうに謝った。
「けど、珍しいなぁ。村上から呼び出すなんて」
いつも何考えてんだか分んない感情の無い顔に、珍しく笑みを浮かべてこっちに近付いてくる。
「何かあったん?」
台詞の割に、心配した素振りなんか一つもなく、綺麗な笑顔のまま俺の頭上に手を伸した。
「別れよ、センセー」
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