1. 誤算と計算

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「…んっ、はぁ……せん、せ…」 息苦しくなってきて、センセーの背中に回してた手で服を引っ張ったら、漸く唇が離れた。 「…村上。お前ホンマ可愛いな」 口の端から垂れた涎を服の袖で拭いながら笑うセンセーは、やっぱり妖しい程綺麗な顔をしてる。 「別れるなんて、そんな勿体ない事出来へんわ」 センセーは手足も長い。 その長い腕で俺を抱締める。 そっと腰に腕を回す、驚く程細い腰。 卑怯だ。センセーは何もかもが整い過ぎている。 「別れたいなんて、冗談やろ?」 (…冗談だと言ってしまおうか) 抱かれ心地のいい腕の中でふと扉近くに目をやった。 「 …… 」 「 …! 」 そこに居たのは、背が高くヒョロリと細い身体の男子学生。 ガッチリと眼が合った彼は、随分と端正な顔立ちをしている(と思う) どうやら俺は、顔の良い男に弱いらしい。 .
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