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「金田くん、ね。俺は2年の村上純」
「…知ってます」
金田は一変、俯かせてた顔を上げてキッと俺を睨み付ける。
綺麗な顔の男は、どんな表情を浮かべても綺麗だ。
「へぇ、有名なんだ、俺」
相手が自分を知っていたのが嬉しくてニヤついてたら、眉間に皺を寄せ不機嫌丸出しの金田に、肩を掴んでいた両手を勢い良く振り払われた。
「そりゃあ、もう!村上先輩はモテるって評判ですから」
「そう?」
白々しく聞き返せば、金田に妙なスイッチが入ったのか、興奮して切り返す。
「ええ!!特に女子よりも男子に人気だ、ってもっぱらの噂ですっ。色白の二重で線も細くて女にしか見えな…ぃっ、て…」
男に言っても喜ぶ台詞じゃないと認識したのか、俺の表情にビビったのか。
金田の声が尻すぼんで聞こえなくなった。
「…スイマセン…」
情けない顔で謝る姿はまるで犬みたいだ。
頭と尻に、垂れ下がった耳と尻尾が見えた気がして、思わず笑ってしまう。
「…村上先輩?」
まだクスクス笑ってる俺を怪訝そうに見てる金田。
「…色白二重で線が細いのは、お前も一緒だよな」
「えっ?」
(これが漫画なら金田の頭の上は?マークで一杯だろうな)
俺は、徐に金田の学生服の襟元を掴んで自分の方に引き寄せた。
「可愛いよ、お前」
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