顔見知りの男

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「─というわけで、コイツの顔を拝むのはもう3回目なんだ。そう言う意味では顔見知り って言えないこともないわな」 3枚の写真は、送り主もロケーションも撮影日もバラバラで、互いに何の接点もない。 ただ、その場に居るはずのない、ある男が写りこんでいる点だけが共通「・・で、何かあったんですか?」 「何が?」 「だから・・よくあるじゃないですか、霊障だとか何とか」 「どうかなぁ。身体はどこも具合悪くないし、特に不幸事もないしなぁ」 「じゃあ、その男がDさんの写真に写ってたとかはない?」 「うーん、覚えはないなぁ。オレ写真写り悪いから嫌いなんだよ、撮られるの」 「写す側にしてもそそられませんよ。40過ぎのむさい野郎なんて」 「悪かったな・・・つーか、この年で独身ってのはコイツの祟りなのか?オイ・・」 後は、いつものようにDさんの愚痴を聞くハメになった。 それからしばらくして、Dさんに女の子を紹介する事になった。 とりあえず写真を見たい、という先方の要望を伝えると、 Dさんは写真の束を私に押しつけ、「適当に選んどいてくれ」とロケに行ってしまった。 しかたなく、私はDさんの「適当な」写真を選ぶという不毛な作業を始めた。 写真を撮られるのが嫌いと言うだけあって、スナップ写真ですら数が少ない。 パラパラと写真を繰っていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。 振り返ると、番組の女性スタッフが坊さんを一人連れて立っていた。 「今良いかな?この人、○○寺の住職さん」 「あーハイハイ」 「今度番組に出てもらうんで打合せに来てもらったんだ。ちょと部屋借りれる?」 「ちょっと待って下さい・・・」 席を立とうとして、坊さんの視線がDさんの写真に向いているのに気づいた。 「この人・・・」
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