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「そういえば紗夜。紗夜はお昼食べた?」
「いや。帰りにどこか寄ろうと思ってたし」
「じゃあどっか寄ろうよ!健矢も」
「はいはい」
歩きながらそんな話をすると、直は近くのファミレスに入る。
「何でファミレス?近くにファーストフードもあったろう」
「あ~。そういうの紗夜嫌いなんだもん」
「へぇ」
名前を上げられた本人は向けられる視線を気にもせずメニューを見ていた。
直と健矢もメニューへ視線を戻す。
すると紗夜はメニューを閉じ机の上に置いた。
「紗夜、決まったの?」
「ああ」
「もうちょい待ってね」
「………」
明後日の方向を見る紗夜を見ずにそんな会話をしてメニューを選んでいく。
「……相変わらず仲いいな」
「そう?」
「そうだって。だいたい幼馴染みなんて、高校入る前にお互いの家に行き来する関係は切るだろ」
「……そうなの?」
「普通の幼馴染みはな。俺だって今じゃ連絡もとらないぞ」
「……寂しくない?」
「別に」
直は紗夜を見る。
「何?」
横目で直に視線を向ける。
「俺といるのいや?」
「別に。お前が嫌になったら切ればいいんじゃないか?幼馴染みなんて」
「俺が嫌になったら?」
「だいたい男の方からだろ?そういうの。幼馴染みでも女より男と連みたくなったらそっちに行けばいいさ」
「………」
紗夜への視線を下へ落とし寂しそうな瞳をする。
それを見ているだけの健矢。
「それより早く決めろよ。早く食べて帰りたいんだよ私は」
「ああごめん」
慌ててメニューを決める直を困ったような、少し怒ったような瞳で紗夜は見つめていた。
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