2.仲良し

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帰り道。 地元の駅につくと健矢と別れ、家へ紗夜と直は歩いていた。 「……さっきから何なんだ?」 「え?」 いつもの直ならうるさいと言わなければならない程ぺちゃくちゃ喋っていると言うのに、今は何一つ話そうとしない。 「ファミレス出てからずっとだな。何か言いたい事があるならはっきり言えよ」 少し前を歩いていた紗夜が直へと首だけ振り向く。 「……紗夜は、俺たちの関係が崩れたらどうする?」 「は?関係が崩れるって何だよ?」 眉を潜めて今度は体ごと直へ向ける。 「だから、幼馴染みだけど、もしかしたらこの先、こうやって一緒にいられないかも知れないじゃん。そしたら紗夜はどうする?」 下を向いて話す直を睨みつけながら紗夜はハァと息を吐いた。 「別にどうって事があるわけじゃないだろ?」 「え?」 直が顔をあげると随分傾いた日の方を向いて紗夜は立っていた。 「それがいつになるかなんて私にはわからない。例えそれが明日きても、私には止められないし止める権利もない。それはお前も同じだ」 「……うん」 「だからってその日のために私たちが距離を置く必要もない。その日がくれば自然になるさ。置いて行かれる方は寂しいかも知れないが、ずっとこのままではいられない」 ――ずっとこのままではいられない―― その言葉が直にはととも重く感じられた。 「でも今はそんなことにはならないだろ?私がお前から離れる理由も、お前が私から離れる理由もない。ならまだこのままいられるよ。わかんない先のことでいちいち悩むな」 「……うん。紗夜はそれでいいの?」 「少なからず私は今の生活に迷惑も嫌気も差してないからな」 「……ならいいや!」 急に元気を取り戻した直にあきれた笑みを浮かべながら帰路につく。 直にはそんな言葉で良いのかと、紗夜はちょっとだけ笑って直が隣に並ぶのを待ってから歩き出した。
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