3.君の隣

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家に着いて紗夜は部屋に入るなりベットに倒れるように寝転がった。 枕に顔を埋めてすぐに窓の方へ顔を向ける。 「……直のやつ。何だって急にあんな話を…」 誰に言うわけでもなく呟く。 寝返りを打ち、仰向けになるとふとポケットの中に入れていた携帯を取り出した。 そこには【メール1件】と表示されていた。 「誰だ?」 メールを開くと見慣れない送り主の名前。 「三崎(ミサキ)?あ~。この前の」 昨日夕方に送られてきたメールを思い出す。 そう。送り主は最近連みだした男子の三崎だった。 「何だ?」 そう思いながら携帯を開き未開封のメールを開く。 ありきたりな件名にため息をつくと本文へ目を移す。 するとそこには【夏休み前の講義について聞きたいことがあるんだけど……】と書いてあった。 だが紗夜はそんな気分ではなかった。 「……そんなこと燈香に頼めばいいだろ」 呟いたその言葉をそのままメールの本文へ打ち、送信した後携帯を近くの机に投げた。 機嫌が悪いのが紗夜自身にはわかっていた。 でも何故自分は機嫌が悪いのかがわからない。 赤く染まる空を見上げ、そこで見つけた一番星を睨む。 何に機嫌を害されているのかがわからないのが余計に気持ち悪い。 直のせいであるのは確実なのに、直の何に機嫌を害したのか。 「…何で私があいつの行動にいちいちイラつかなきゃいけないんだっ…」 吐き捨てるように空に言うと響きを持たぬまま言葉は消えた。 そして視線を下に落としシーツを握り締め布団をひと殴りする。 「……ふぅ」 殴ったおかげで少し落ち着いたのか肩を落としベットから降りる。 ひと伸びすると机の上の携帯が振動する。
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