3.君の隣

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翌日の昼頃。 紗夜は気だるそうに部屋から居間へ下りてきた。 「今日は誰かと約束?」 居間でテレビを見ていた母親。 それを見ながら母親の対角線上に座り時計を見てひと息ついた。 「直ちゃん?」 「違う」 「じゃあ燈香ちゃん?」 「違う。母さんが知らない奴だよ」 「へぇ~。どこ行くの?」 「帰りによく寄ってくる喫茶店」 「ふ~ん」 話が終わると時間がきたのか立ち上がり小さなバックを持って玄関へ向かう。 「何時に帰るの~?」 「さあ?でもそんな遅くならないよ」 「はいは~い。いってらっしゃ~い」 居間から手を振って見送る母親に振り向かず出て行く。 その頃直は丁度窓から見える道を見ていた。 「あ!紗夜だ」 駅へ向かう紗夜の姿を見つけた。 「紗夜~!」 窓を開け紗夜に向かって手を振る。 声のする方向に直を見つけ呆れるような視線を向ける。 「昨日の用に行くの~?」 「ああ。その前にお前、恥ずかしいからそこから私を呼ぶな」 「ええ~」 「ええじゃない。じゃあな」 軽く手を上げてスタスタと駅に歩いていってしまった。 「つまんないなぁ~……」 直の呟きは空に少しだけ響いて消えていった。
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