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ダルい体を動かせて二階から一階へ降りていく。
「さ~よ~!」
「うるさい」
玄関の所で立って人の名前を叫んでいる幼馴染み。
睨みつけるように相手を見ながら階段を降りてくる。
「何の用だよ?こんな朝早くから」
「今日ちょっと用事あるから遊べないんだ」
「………そんなことでいちいち呼ぶな」
「ええ~」
「ええじゃない。用がないならさっさと帰ってその用事とやらに行け」
「冷たいなぁ」
「消えろ」
居間に行こうと体の向きを変えた。
すると直が出ていこうとして振り返った。
「紗夜、暇な時メールしていいからね」
戸を閉めて行った直の背中を不思議そうに眺めた。
小首を傾げて居間に入る。
台所では、母親が朝食の準備をしている。
今朝の朝食は珍しく洋食のようで、テーブルの上にはランチョンマットが敷いてある。
しかしランチョンマットは2枚しか敷いておらず、紗夜は眉を潜めた。
「母さん。今日は2人?」
「そう。お父さんもお兄ちゃんも今日は早く出ちゃったから、今日はお母さんと2人」
「ふ~ん」
テーブルの上の新聞を取りながら椅子に座った。
「パン食でごめんね。ご飯が少ししかなくなってて」
「いいよ、別に。嫌いじゃないし」
「ありがとう~」
ランチョンマットの上に目玉焼きやベーコンが乗ったお皿に、パンが2枚程乗ったお皿。
サラダが入った器が並べられていく。
「どうぞ」
椅子に座りながら母親がそう言う。
「いただきます」
手を合わせて手をつけ始める。
母親も挨拶をしてから食べ始めた。
しばらく無言で食べていたが、その無言の雰囲気を母親が先に破った。
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