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しばらくしてメールの返信が返ってきた。
「誰だった?」
「……最近連むようになった男子」
「え?」
「燈香(トウカ)が教えたんだってさ。全く、余計なことを…」
携帯の画面を見ながらメールを打ち返す。
「燈香って澤近さん?」
「そ。あいつ勝手に教えやがって」
澤近燈香(サワチカトウカ)。
紗夜と直と同じ高校で、珍しく紗夜が3年間連んだ女子。
さっぱりとした性格で、悪く言えばがさつと言ったボーイッシュな少女だった。
「で、その男子君は何て?」
「いや、燈香からアドレス聞いて登録してくれとさ。全く暇な奴だよな」
「……紗夜……」
「何」
「いや、別に」
「それよりお前はさっさと課題片せよ。そろそろ親帰って来んだから」
「久々に紗夜のお母さん会いたいなぁ」
「知るかよ」
言うと同時に紗夜が携帯を閉じて机に置いた。
「終わったの?」
「メールなんて必要以上にやってられっか」
「はいはい」
直は課題にまた視線を戻して課題に取り組む。
その姿を見ながらお茶を一口飲む紗夜。
興味なさそうに直の課題を覗き込んだ。
そんな中、直は紗夜に話しかけた。
「俺、明日登校日なんだ」
顔上げず、課題に視線を送り続ける。
「だから何だよ」
「いや、特に意味はないけど……」
「……なら、今日残ったのは健矢君に教わってこいよ。うちに来たって私はどの道教えてやれないんだし」
「うん、そうする。紗夜は?明日なんか用事ないの?」
「特にないな。課題の本でも読んでるんじゃないか」
「ははっ!じゃあ帰りに寄っていい?」
「別に。来たけりゃくればいいだろ?」
「そうする~」
笑ってシャーペン置き、広げたレポート用紙やらを片付けていく。
「帰るのか?」
「ううん。家誰もいないし、良ければ晩御飯も一緒がいいな」
「親に聞けよ」
「紗夜のお母さんなら大丈夫だよ」
「勝手にしろ」
直はそのまま紗夜と話をしながら紗夜の親が帰って来るのを待ち、ちゃっかり晩御飯まで食べて帰っていった。
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