2.仲良し

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ぼーっと畳の上で横たわっていた紗夜の耳にインターホンの音が届いた。 「……誰?」 気だるそうに体を起こして立ち上がる。 外からは聞き覚えのある声が聞こえてきた。 玄関のドアを開けると、そこには予想通りの人物が立っていた。 「直のお母さん。どうしたんですか?」 「紗夜ちゃん。お願いがあるの」 そこに立っていたの先程まで考えた直の母親。 「直ってば今日必要だからって台所のテーブルに置いておいた資料を忘れていったみたいなの。私これから剛(ツヨシ)の学校に行かなくちゃ行けなくて、直に連絡でも入れて取りに来さしてくれる?」 「………」 相変わらずの間抜けっぷりに肩の力が抜けた。 「ダメかしら?紗夜ちゃん」 「いえ。私が届けに行きますよ」 「え?でも結構お金かかっちゃうわよ?」 「いいですよ。普段からそんな遠くまで出歩かないんです。たまには遠出もしないと」 「そういえば紗夜ちゃんは近くの公立だもね。直もそこに行ってくれればよかったのに」 「直がですか?」 「フフッ。直の頭じゃ無理よね。じゃあお願いしてもいい?」 「ええ」 「じゃあこれ。お願いね」 直の母親は茶色いA4の封筒を渡した。 「はい」 「ごめんね。ありがとう」 そう言って直の母親は帰って行った。 紗夜は部屋に戻り身支度を整え、直の資料を持って家を出て行く。 家を出てすぐに直にメールをする。 只今時刻は10時29分。 直の大学に到着するのは12時を過ぎてしまうだろうと思いながら駅まで歩く。
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