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「それ位はもうじき自分でわかるでしょ?全部アタシに頼ってどうするの。
…そんなんじゃ、世界は壊れないわよ、ヴァンパイア王」
[『そんなんじゃ~』からは諭すように]
「…いちいち癪に触る人間だな」
「その人間に助けられたのはどこの誰?」
「………くそ、わかったっ!僕の負けだ…確かに焦りすぎた…」
[半分悔しそうに半分自棄で]
「…最初から素直なら可愛いのに」
[ぽつり、と]
「うるさい……アレは、恐らく"祭壇の王"だ。何をしても死ねない人間…。今日接触してきた、間違いないだろう」
[一蹴してから]
「してきた?向こうから?………ぁ、もしかして赤月くん?」
「……知り合いか?」
「いや、全然。ただ、あの子は紅月(コウゲツ)の末裔だから…」
[語尾はフェードアウトする感じで]
「ちょっと待て!本物にどこまで知ってる?貴様、何者だ?」
[遮って待ったをかけ]
「ぇ、ぁー…こ、校長先生が…」
[言い訳するように]
「ただの人間が知るわけないだろ」
[畳み掛け]
「じ、じゃぁ担任の…」
「担任は人間じゃないのか?」
[追い打ち]
「うっ…はぁ、わかったわよ。帰ってきたらね」
[観念して]
「…まぁいい、本題に戻す。僕は今日"祭壇の王"を駒に転換する。駒に落ちれば、王の存在が消えた分子はその存在も消滅するだろう…。
祭壇の王の分子を書き換えてほしい。逢魔ヶ時までに」
「"分子"の書き換え…容易じゃないわよ?"例の王"ならともかく…」
「…アイツはまだ早い。
人間でいないか?遺伝子を操作し、且つ後遺症もなく気付かれることなく事を運べる医師…"こちら側"を知っていれば尚いい」
「んー……じゃ、アイツに頼んでみようかしら」
[少し考えてから]
「……いるのかそんな人間」
[意外そうに]
「何よ、いてよかったでしょ?」
「いや、兄貴がやるのかと…」
「アタシはそんな化け物じゃないわよ!」
[失礼な!と言わんばかりに]
「じゃ、任せたぞ?僕は儀式の準備をする…あ」
[最後に思い出したように一声]
「何?忘れ物?」
「あぁ、帰ってきたら、絶対に正体明かしてもらうからな」
[念を押し退室]
―パタン―
「……教えなくてもわかるんだけどな、"祭壇の王"を駒にしたあとは
……さぁて、百鬼(ヒャッキ)に電話でもすっかなー」
[普通の男らしい(?)口調に戻し]
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