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[一色の語り]
ずっと、考えている
どうしてこうなったのか
なぜ、こんなことになったのか
僕達が、何をしたというのか…
ずっと
[七緋]『何を考えているの?』
世界が…
「世界が、消えてしまえばいい、と思って…」
壊れたオモチャは、要らない
僕らを拒絶する世界は、要らない
僕らは、離れてはならない
一つでなければ…
だから
[七緋]『離れよう、一色。僕達は、一緒にいたらダメだ』
「いや、僕らが離れる必要はない。僕が、すべて壊すから」
[七緋]『ううん…ダメだよ、それじゃ。一色は王だから…』
「七緋もだろう?」
[七緋]『…僕は…』
[兵士A]『ヴァンパイア王!』
[兵士B]『王はどこだ!』
「騒がしいな…何かあったのか?」
(様子を伺うように)
[七緋]『ダメだ!行ったらダメ』
(必死にとめる)
「七緋?…何か知ってるのか」
(訝しむように)
[七緋]『…ごめんね、一色…。僕は王にはなれない。僕は…』
(静かに悲しそうに)
「なな、ひ…まさか…」
[兵士B]『いたか?』
[兵士C]『いや、まだだ』
[兵士A]『残るは玉座だけだ』
「まずい…七緋、行こう。ここから逃げないと…」
[七緋]『一色だけで行って…僕が一緒だと、一色まで殺される』
「一人で人間共と生きるくらいなら、七緋と死んだ方がましだ」
[七緋]『ひと』
[隊長]『ヴァンパイア王、失礼する』
「チッ、この声…アイツがきたのならもう時間がない」
(焦るように)
[七緋]『…いいよ、一色…僕を殺して?』
[隊長]『ヴァンパイア王!…これは…』
(勢い込んで、驚愕)
「…ごめん、七緋…」
(静かに心の底から)
[兵士B]『た、隊長…』(狼狽えて)
[兵士A]『これは…如何いたしましょう?』
(絶句して、焦ってください)
[隊長]『…ヴァンパイア王直々の鎮圧により、叛王崩御の報せを』
[兵士C]『はっ』
「待て」
(凛とした声で)
[隊長]『王?』
「伝えるのは、ヴァンパイア王乱心による、虐殺の報せだ!」
([伝えるのは]は静かに[ヴァンパイア~]は強めに)
世界は、壊れていく
世界は、呪われていく
僕が
「全部、壊してやる。僕らを拒絶する世界は要らない。
さぁ、崩壊の戯曲を奏でよう」
「クラウン」
第一章 崩壊の戯曲~人間界編~
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